今回は受動態の②で、受動態に直したときに前置詞が残るパターンからです。
前回の続きとなるので、まずはこちら(受動態① | 1から学ぶ英語)を先にご覧ください。
前置詞を伴う構文の受動態
自動詞や他動詞と前置詞・副詞が組み合わさって一つの意味を作っている場合、前置詞の目的語を主語にして受動態を作ることができます。
前置詞の目的語が主語になったパターンで、受動態に直したときに目的語がない関係で前置詞が続いてしまいますが正しい英文となります。
(a) 自動詞 + 前置詞
・The audience cheered for the singer.
(観客は歌手を応援した)
→ The singer was cheered for by the audience.
・Everyone depends on his guidance.
(みんな彼の指導に頼っている)
→ His guidance is depended on by everyone.
- 関連する動詞・句
ask for(~を求める)、care for(~の世話をする)、listen to(~に耳を傾ける)、look after(~の世話をする)、think of(~を考える)など。
(b) 自動詞 + 副詞 + 前置詞
・The students speak highly of the new teacher.
(生徒たちはは新しい先生を高く評価している)
→ The new teacher is spoken highly of by the students.
・They always looked up to their coach with respect
(彼らはいつもコーチを尊敬していた)
→Their coach was always looked up to with respect by them
- 関連する動詞・句
do away with(~を廃止する)、put up with(~を我慢する)、look down on(~を軽蔑する)など。
(c) 他動詞 + 名詞 + 前置詞
・They lost track of the original plan during the meeting.
(彼らは会議中に当初の計画を見失った)
→ The original plan was lost track of during the meeting.
・The students ignored the manager’s instructions.
(生徒たちはマネージャーの指示を無視した)
→ The manager’s instructions were ignored by the students.
- 関連する動詞・句
make fun of(~をからかう)、take care of(~の世話をする)、pay attention to(~に注意を払う)など。
受動態の「動作」と「状態」
受動態は、
・行為そのものを表す場合(~された)
・結果や状態を表す場合(~されている)
の2種類があります。
行為・動作を示す受動態
・The store was locked at nine each night.
(その店は毎晩9時に閉められた)
・The essay was completed by the students yesterday.
(その作文は昨日、学生たちによって仕上げられた)
結果・状態を示す受動態
・The store is closed on public holidays.
(その店は祝日は閉まっている)
・The essay is written in clear language.
(その作文は分かりやすい言葉で書かれている)
意味を強めたいときの表現
- 動作を強調 → get / become / grow
- 状態を強調 → remain / lie / stand / rest
動作強調の例
・She got recognized for her effort.
(彼女は努力を認められた)
・He got trapped in a traffic jam.
(彼は交通渋滞に巻き込まれた)
・The children became thrilled during the performance.
(子どもたちは公演中、興奮した)
状態強調の例
・The papers lay scattered across the desk.
(書類が机の上に散らばっていた)
・The apartment remained empty for weeks.
(そのアパートは数週間、空き家のままだった)
・You may rest assured that your account is secure.
(あなたのアカウントは安全なので安心してください)
・He stood accused of violating the rules.
(彼は規則違反で責められていた)
補足
上記で意味を強めたいときの表現としていますが、大前提として受動態は本来「S + V + C(第2文型的)」の構造となっています。
どういうことかと言うと、過去分詞は動詞ではなく品詞上は形容詞です。
尚且つ、受動態の文は動詞がbe動詞なので、文型的には第2文型が成立するという訳です。
そう考えると、第2文型が成立するという事は、be動詞以外の動詞で後ろに形容詞(=過去分詞)を取れる動詞は?というのがここの内容です。よく入試や試験で出てくる一般動詞ですね。
下記で簡単にまとめておきます。
・基本は be動詞 + 過去分詞 で「~される/~されている」を表現
・動作を強調したい場合は get / become / grow + C を使う
・状態を強調したい場合は remain / lie / stand / rest + C を使う
つまり、受動態の強調表現は、SVCのCに形容詞や過去分詞を置き、be動詞を別の動詞に置き換えたものと考えられます。
受動態でのby以外の前置詞の使い方
受動態の文では、行為者(動作主)を特に示す必要がない場合、by~ を省略することがあります。ただし、動詞によっては by以外の前置詞が使われ、行為者ではなく手段・材料・理由・対象などを示すことが多くなります。
ここでは文法というより、どちらかというとイディオムに近い要素となっています。
一般的な使い方
- Books are made of paper.
(本は紙でできている ―― 材料がそのまま残る場合) - Paper is made from recycled materials.
(紙はリサイクル材料から作られる ―― 原料が変化する場合) - This artist is known to many people for her paintings.
(この画家は多くの人々にその絵画で知られている) - The city is known for its delicious street food.
(その街は美味しい屋台料理で知られている) - She is involved in environmental research.
(彼女は環境研究に取り組んでいる) - He is focused on expanding his business.
(彼は事業拡大に集中している)
感情や状態を表す動詞の例
- I was amazed at his clever solution.
(彼の巧みな解決策に驚いた) - He was thrilled at the idea of traveling abroad.
(海外旅行の計画を聞いてわくわくした) - She is fascinated by traditional Japanese crafts.
(彼女は日本の伝統工芸に魅了されている) - We were satisfied with the results of the experiment.
(私たちは実験結果に満足した) - He is interested in classical music.
(彼はクラシック音楽に興味がある)
※上記で紹介したamazedやsatisfied,interestedといった形容詞については、元々amazedであれば「~をおどろかせる」、satisfiedは「~を満足させる」、interestedは「~に興味を持たせる」という動詞で受動態になることで能動態の意味になります。
これに関してはまた別途説明が必要な単語となるので、別の章で紹介します。
上記の他にhave +目的語+過去分詞というものもあります。
使い方としては
・He had his licence suspended for two months.(彼は2か月間免許を停止された)
となりますが、このhaveについては似たような形でhave +目的語+原形不定詞というのもあり、これに関してはまとめて不定詞の単元で、どういう時に過去分詞 or 不定詞を使うのか説明していこうと思います。
ここまでで受動態の説明は終わりとなります。
一部イディオムもありましたが、そこは単語帳等を使って覚えていければいいかなと思います。
というわけで、今回はここまで。
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